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興味深い発言を見つけた。


俺はベタベタなタイプの歌い手だから感情を込めてずぶ濡れになって歌うけど、大江とじゃがたらの(江戸)アケミはカラッカラなのよ。言葉を“捨てる”って言うか、飲まないんだよ。演歌と全然対極にいて、中に入ってこない。次から次へと吐き捨てるのは、すっごい難しいんだよ。感情を込めて歌えば伝わるような気がするんだけど、実は嘘で、言葉なんて、捨てないと相手が受け取れないだよな。
仲野茂(ザ・ルースターズ特集
仲野茂は昔から、「同世代でショックを受けたボーカリストは大江だけ」といっていたが、この「大江は言葉を捨てて唄う」発言、映画「爆裂都市」をご覧になった方なら、さらによくおわかりであろう。一見、素人っぽい「やったやった、また勝ったー」といった大江が演じるフライング風戸の棒読みゼリフ。あれも完全に言葉が「捨てられて」いる。別に演技が下手なわけではなく、ああいった表現しかできなかった/したくなかったのではないだろか。

これは冗談ではなく、大江は昔から、それを示唆するようなことをいっていた。日本語の詞だけではなく英語でも唄うのはなぜかと問われ、「英語独特の“語感”を楽しむ」と答えたり、後期には「ヴォーカルではなく『ヴォイス』。声は楽器の一部」といったニュアンスの発言をしたり。つまり言葉を感情移入するための「意味を持ったもの」だけではなく、できる限り「オト」として捉えるというか。