ア・ゴーゴー

「インセイン」が出た頃、大江は「ジョン・ライドンとやっても負けない自信はある」といっていたが、インタビュアーに「海外進出の予定は」と聞かれ、マネージャーがかわりに「まず日本を制してから…」と答えていた。結局、日本を制することはなかった。

古い話で恐縮だが、ルースターズロッカーズは活動当初、ほとんどの音楽雑誌で評価されなかった。むしろ、「同時代性がない(つまり「古くさい」)」と否定的にとらえられることの方が多かったのだ。これに対し大江は「俺達はいつも時代と共に歩んどる。(時代性の)映し方の問題だと思うんですよ」と答えていたが……。確かに1stなどは一聴すると単純に初期ストーンズ的なビートバンドにも思えなくもないが、よく聴けば昔のものとはスピード感が全然違うし、そもそも「ロージー」のスカ的なアレンジは、決して古くさいものではなかったのに。

さらにいえば、1stから3rdまでの音の変遷は、「コロコロ変わりすぎ」とまで書かれてたのだ。今となってはその「変化のスピードがすごかった」などといわれているのに。

多くの音楽誌でキチンと評価されたのは、実際には6枚目のアルバム「φ」が出てからである(「宝島」誌などでは、日本のロックの名盤第1位に選んでいた)。しかしあのアルバムは、大江が主体性を持って参加しているとはいいがたいものだった(悪いとはいわないが)。