ザ・ギャザーズの「ロマンチック・ラブ」

最近の愛聴盤は、ザ・ギャザーズの、バンド名が冠されたアルバムだ。10年くらい前に出たものだろうか(最近、DISK UNIONにて中古で購入)。
87年にミントサウンドから発売された名オムニバス「ATTACK OF MUSHROOM PEOPLE」に収録されていたギャザーズの曲(涙の贈りもの)は、モロにGSサウンドだったが、ある人が「THE BADGEを聴いてTHE GATHERSを思い出した」と書いていたのを読んで、他の曲はどんなのものかとずっと引っかかっていたのだ。
87年当時のネオGS本(なぜか数冊持っている)に書かれたプロフィールを読むと、バンド名の由来は「rolling stone gathers no moss」からで、ストーンズからの影響が強いことがうかがえる。このアルバムも全体を通して聴けばストーンズ的な趣きが濃い。しかし、よくあるストーンズ・フォロワーとは違い、ストーンズとそのルーツに対する距離が絶妙なため、とても楽しめる。
で、このアルバムの、特に冒頭の曲「ロマンチック・ラブ」が、憂いに満ち満ちており確かにバッヂにも通じるものが感じられる。ドン・コヴェイ的なリフも小気味いい。
さらに2曲めの「僕の車に乗らないで」は、ストーンズの「一人ぼっちの世界」から得たアイデア(カッティングで曲をグイグイ引っ張ってゆく感じ──ルースターズの「フェンスに腰かけ」と同様)で展開し、ところかまわず足を踏み鳴らしたくなる。
また、声質は永チャン系、しかし歌いまわしは舘ひろしっぽいホリベ氏のボーカルも、とても魅力的なのです。