宇宙戦争

  • 導入のナレーションから原作に忠実に作られてることがアリアリと伺える。
  • ただし、原作で攻めてくるのは「火星人」だが、この映画では「異星人」であり、火星とは特定されていない。
  • どこかで「ダコタ・ファニングに棘が刺さるのは暗喩か」という意見をみたが、なるほどな、思う。
  • 情報はほとんど客観的に(つまり政府とか軍の司令部とか)提示されない。そのため、一体「なにがどうなってるのか」よくわからず、現実に同種の災害が起きた場合の「疑似体験」として観ることが可能。だからより恐ろしい。
  • 為す術もなく破壊・殺戮が繰り返され、人々はエゴ全開で逃げまどう(もちろん主人公も)。
  • と、いうわけで、一見ハッピーエンドだが、その実救いようはゼロ(ラストシーンの後、主人公たちに残るのはPTSDどころの話じゃないだろう)。
  • 理不尽にはじまり、理不尽に終わる。なので、その「理不尽さ」に納得できない人は、鑑賞後に大きな不満を抱くでしょう。原作を読んでから観たほうが楽しめるかも。100年前の小説とは思えない面白さだし。
  • とにかく、「わけのわからないデカイもの」に襲われるという映像が凄まじい。「このビルの陰から怪獣があらわれたら…」と夢想したことがある人にとっては、たまらないでしょう。白昼からでまくりです。
  • それにしてもトライポッド、防御シールドが張り巡らされ、軍隊の攻撃ですら無傷にもかかわらず、劇中では「大阪では(人間に)倒された」と風評に。スピルバーグによると「大阪は怪獣の体験が豊富だから」らしいが、いや、85年、大阪にいて阪神優勝の瞬間を目の当たりにした私には至極納得できる。道頓堀に飛び込むどころか、歩道橋の上から車にジャンプとかしてたもんなー。多分、新世界に登場したトライポッドに、通天閣から飛び乗ったヤツがいたのだろう。ビリケンさんの霊験のおかげでシールド突破。そしてジャンジャン横丁坂田三吉の念がこもった将棋のコマを弾丸のごとくブツけられ、「二度漬け禁止」の串カツのソースに滑って転倒。その後、トライポッドはカニ道楽同様、「動く看板」として改造が施され、甲賀流タコ焼きのマスコットとして長くアメリカ村に君臨。
  • スピルバーグにはぜひ、白川まり奈の「人喰い円盤」も映画化してもらいたいところ。