今年はじめて(!)劇場で映画を見る。それがハリウッド超大作って……。
ところが非常に面白いのであった。正直ええ歳のオッサンが何度か泣かされかけましたね。笑わば笑え。
前作同様、カイル・クーパーによるオープニングからいい感じ、「1」のポイントをアメコミ(by アレックス・ロス)で復習。本編も「いかにしてスパイダーマンになったか」という説明的要素が必要ない分盛りだくさん。アクションも「スパイダー」という特性上、普段目にすることがない凄まじい上下移動(落ちる、飛びあがる)が中心で、ま、当然ワイヤーも使ってるのでしょうが、とても新鮮に見ることができます。かつてシェイキーカムでありえない視点の映像をみせたサム・ライミの面目躍如、前作以上の尋常じゃないスピード感。敵役も超強力、毎度おなじみブルース・キャンベルも登場。ギャグもいっぱい。
難点は……やはり、ヒロインのMJがいまいち魅力に欠けるところか(個人的には大家の娘の方がキュートで好み)。でも、MJのようにとりたてて華がなくても(失敬)クラスいちの人気を誇る女の子って現実にもいるわけで、そう考えると逆にリアリティがあると思えなくもない。あとは、主人公がしょっちゅうマスクを脱ぐのだが、やっぱ息苦しいのか? でもピーター・パーカー、ホントいいヤツだ!
コミックがベースなので「あんな図体じゃアジトはすぐバレるだろ」などありえない展開も多いのですが「この世界では、これはアリ」と思える人であれば、十二分に楽しめるのではないでしょうか。「1」から引っ張ってる話も多いので、できれば前作を見ておいたほうがよいかと(私はDVDで見ました)。「1」で死んだ人も回想シーンなどで全員出演。豪華。
とにかくスパイダーマンって、スーパーマンみたいに「正義と真実とアメリカンウェイを守る」みたいなところがなく、基本的にはマンハッタンという限定された地域に暮らす市井の人たちを「可能な限り」助ける、というところがいいな。ま、空は飛べないので遠くへもいけないのだろうけど(仮に行けても高い建物が密集してないとダメだろうから田舎じゃ活躍不能か)。しかも、いつ事件が起こるかわからない「スパイダーマン」業のため、バイトは休みがちでクビになりお金がなくて家賃(フロ共同)も滞納。きっと食事もロクにとってないのだろう、そりゃ「糸」も出なくなるって。泣かされかけたシーンのひとつは、主人公がコインランドリーでスパイダー・スーツを侘しく洗濯していたところです……。「でもやるんだよ!(c.根本敬)」なんのために? って映画でしょうか。
「3」は2007年公開。
※オマケ=スパイダーマンの英語表記は「SPIDER-MAN」とハイフンが入るのが正しいのだとか。理由は、同じく「S」ではじまる「SUPERMAN」と間違えられないように。