80年代最大のプロテストソング

ルースターズの公式サイト、トップページに「GO FUCK」の歌詞が載っていた。リアルタイマーにとっては「話題になりながら聴くことができなかった幻の曲」として記憶されているかも知れないが、後追いでルースターズを知った人達はどう思っているのだろう? つーわけで、オッサンならではの思い出話を綴ってみる。


「GO FUCK」、そもそもは12inchシングル「ニュールンベルグでささやいて」のジャケ裏ライナーに、山名昇氏が「この後は80年代最大のプロテストソング(のリリース)が控えている」と書かれたことに端を発していたかと記憶している。で、やがてその曲は「GO FUCK」というタイトルらしいとわかり、そのタイトルのあまりといえばあまりのストレートさと、曲が出てくる前に「GO FUCK」ロゴのバッヂやTシャツ(襟ぐりが広く、あまり欲しくなるような出来ではなかった)などが売られたりして、「どんな曲なんだ?」と煽るだけ煽られて、結局は発表されなかったのだ。実際に録音されたのかどうかも長い間不確かだった。


山名氏のライナーは、「プレイヤー」誌に発表されたレコーディング・レポに基づいており、当時それを読んだ限りでは録音されているような気がしたものだ(実際に、「ゴミ」など、「ニュールンベルグ」以降に発表された曲も同時期に録音されたと書かれていたし)。


さらに83年の暮れ、大阪のライブハウスルースターズのライブが行われた時の事、開演前に「1984」(ルースターズの大江抜きの実験音楽ユニット)のテープや「GO FUCK」バッヂなどが売られていた物販ブース近くで友達と話していた時のこと。話が「1984」に似た名前を持つ「1999」のライブにおよぶと、近くにいたサングラスのおじさんに声をかけられた。「ヒロシの新しいバンド、見たの?」。その人は当時のルースターズファンにとって知らない人はいなかったであろう、プロデューサーK氏であった(映画「爆裂都市」にも、ライブハウス「20000V」オーナー役として出演)。ややビックリしたが、「1999」は京都のパンクバンド「ZIGZAG」のヒロシ氏がZIGZAG解散後に作ったバンドで、さらにZIGZAG唯一のアルバム「MADD POWER」のプロデュースは、K氏が担当していたのであった。


で、話しかけられたのを幸いに、「ところで『GO FUCK』はリリースされないんですか?」と聞いてみたのだ。「するよ! 色々仕掛けを考えてるんだよ」と、K氏は答えてくれたので、楽しみに待っていたのだが、半年後にリリースされた「Good Dreams」には入っていなかった……。


と、いうわけで、長い間心の奥に引っかかっていたんだけど、数年前に、ようやくライブバージョンの「GO FUCK」を聞くことができた。「80年代最大のプロテストソング」? うーむ……。正直それほどのものでは、と思ってしまったのであった。ま、頭の中で散々肥大していたからだろうけど。


そして現在。9/29に発売されるBOX SETに、ついに「GO FUCK」のスタジオ・バージョンが収録されるらしい。でも、それよりも、ロッカーズと競演した「激突!めんたいロック」の映像(が入るらしい)や、石井聰亙によるプライベート8mmが気になる。さらにテレビ番組だと、TVKのは普通に収録されるとして、「レッツゴー・ヤング(GIRL FRIEND)」や「ヤング OH! OH!(どうしようもない恋の唄)」はどうなんだろ? さらに、それよりなにより、柳ジョージのライブ番組の「新人紹介コーナー」で、ゴダイゴミッキー吉野による「今度ぼく達のレーベル、Our Joyからデビューした、とってもブギするいかしたバンドです、ルースターズ!」という紹介とともに登場し、演奏された「どうしようもない恋の唄」の映像が入っていたら、いくら高くても買うだろう。あの映像が、これまでに観たルースターズの映像の中で、一番カッコよかった(ま、記憶が美化されてる可能性も大いににありますが)。