秘伝の書

室町時代に能を完成させた「世阿弥」による、能楽論であり芸術論であり人生論。僕は能も狂言も歌舞伎も観たことも興味もないのですが(正確には歌舞伎のみ高校の頃に授業の一環としてみせられた)、じゃあプレジデント的な人生論として読むために買ったのかといえばそうではなく、敬愛する俳優・松田優作が、何かのインタビューで「優作さんは役者以外に『歌』もやりますよね?」と問われ、松田“24時間映画のことを考えている”優作氏は、「『花伝書』によると、『歌』だけは役者としての本業と両立しうるものなんだ」といったニュアンスの事を答えていたのが記憶に残っており、いつかは読んでみたいと思っていた次第(これもアマゾンで購入)。チラと読んでみると、前述の松田優作の言葉は、以下の記述に基づいた発言と思われます。

申楽道を究めようと思う者は、専門の申楽の芸以外のことをあれこれとやってはいけない。ただし、和歌の道だけは、申楽能を作る上に風情の美しさを添える効用があるから、これは大いにやってもよろしかろう(現代語訳・川瀬一馬)。
しかし、ここでいう和歌とは、「歌う」というより、「短歌などを作る」ことではないの? それとも「歌を詠む」ことは「唄うこと」に等しいものなのかな? という疑問を抱きつつ、読んでみることにします。なお、「花伝書」はネット上でも全文読むことが可能です。駒澤短期大学の松田研究室の「花伝書を読む」は面白い。この先生、俳優・松田洋治の実の兄らしいです。松田続きですが、優作との親戚関係はありません。